オリキャラ・強姦・スカトロ(浣腸・排泄・強制排尿・飲尿・他)



薄暗い部屋の中、かび臭さにも慣れた。
───寒い、そう思ったのは最初の僅かな時間だけだった。
何の目的で、このような事態に貶められたのか皆目見当もつかない。
ただ一つわかることは、ここから逃げ出すことなどできないだろうということ……。

 

「よぉ、僕チャン。良い子にしてたかァ?」
場にそぐわない声が軋んだ扉の音と共に聞こえてきた。
半ば意識が遠のいていたのだろう、俺はその気配に気付くことができなかった。
半人前とはいえ魔術師を自負する自分は、常人よりは少しばかり気配に敏い。
それがまったく気付けなかったとなれば疲労の具合も容易に伺える。
くじけそうになる気を奮い立たせて、ありったけの力を眼に込める。
視線だけで人が殺せるならば、どんなに楽だったろう。
生憎、俺にそれほどの魔術を行使するだけの力も知識もない。
「ッヒヒヒヒ、イイ顔するねぇ。活きが良くてマジ感激しちゃうぜ」
「おい、どけよ。……えみやしろー君だっけ?待たせてごめんね」
待ってなんかいない。
顔のすぐ傍に落とされたのは学生証の入っている手帳。
自分でも存在を忘れていた───カバンの奥底に眠っていたそれを引っ張り出したのは間違いなくこの男達だろう。
カチリ、と音がしておそらくは天井からぶら下がっている電球が灯された。
両手両足を縛られて床に転がされているために、部屋の中に入ってきた男達の胸元までしか視界に入らない。
「どうしたの、お返事がないよ?」
「テメェなァ……自分で口塞いどいて、それはねえべ」
先の尖った靴に押され視界が少し変わる、男たちの顔がちらりと見えた。
ヒャハァ、と下品に笑う男は奇抜な髪型で、鋲付きのパンクのような格好をしている。
どう見てもマトモな職についているとは思えない20代後半の男。
もう一方の男は一見するとどこにでもいるサラリーマン風の眼鏡男だったが、眼孔が落ち窪んだ様相は見るからに病的で、ジットリとした視線がナメクジのように自分の身体を這う気がした。
気味が悪い。
けれど身動きをとることができないまま、近付く二足の靴をにらみつけた。
「キミ、いつもこんな時間までバイトしてるの?偉いねぇ……でもダメだよ、最近は物騒なんだから。男の子でも……」
「ま、諦めるこったな。コイツみたいな偏執狂に眼ェつけられちゃ、逃げらんねェ」
別に面白いことなんてないのに、腹を抱えて笑い転げるパンク男は今しがた持ち込んだと見えるモノを足で蹴った。
ガラン、と狭い室内に音が響く。
プレハブらしいそこは、鉄骨がむき出しになっていて、どこからともなく隙間風が吹き込む。
デスクや書類が無造作に壁に追いやられ、床には埃が積もっていた。
おそらく建築現場の事務所か何かだったのだろう……使われなくなって少なくとも半年以上か。
「───……」
「いいね、その視線。ゾクゾクしちゃうよ……」
「なァ、早くやろうぜェ。僕チャンも早くゥって眼ェしてんべ」
急くなとでも言うように眼鏡が手を振る。
死角になる位置でごそごそと何かを取り出す音が聞こえ、ますます警戒を強める。
けれど四肢の自由を奪われた現状で、何が出来るだろう。
「キミをね、よく見かけてたんだ。週4で18時から22時、学校からいったん家に帰ってからバイトに出かけてるよね。穂群原の生徒だろう?ボクもあそこの卒業生だ」
聞いてもいないのにベラベラと喋る眼鏡男は、けれど一分の隙もなくて玄人じみた目つきで俺を見下ろす。
鼻の下から顎までを粘着テープで覆われていて、息苦しさをこらえながらそれでも睨むことを止められない。
ここで引き下がってしまったらどうなるのかという恐怖と、理不尽な男達に対する敵愾心とが俺を支えている。
「今日のキミはまかない飯と烏龍茶を2杯飲んでたね。週末でお客も多くて大変だったろう」
何か促す気配を察知したらしいパンク男は、エナメルの靴底で俺を転がす。
身を捩って逆らってはみたが、まな板の上の鯉ほどの動きもとれない。
「ちょっと待ってね、口の……とってあげるから」
言うが早いか皮膚がひっぱられる感触と共に、ひやりとした空気が口元に触れた。
いったいどれくらいぶりに口で呼吸ができたのだろうか。
すぐに叫んでやろうと思ったのに、喉からは引き絞ったような声しか出ない。
「……ッソ、野郎………ッ!」
「言葉遣いがなってないね。ああ……キミ、一人暮らしなんだっけね」
いったい、どこまで自分のことを調べ上げているのだろう。
俺は記憶を何度も辿ったが、知り合いの中にも、今日の客の中にもこの顔を見つけることができない。
「まあいいや、早速で悪いんだけどコレ……つけさせてね」
悪いなどとはまるで思っていないだろう表情で、男は薄ピンク色の何かを取り出した。
いびつな筒型に見えるソレは透けていて、透明な材質だということしかわからない。
「知らないの?これ、マウスピースって言うんだ。歯医者さんの治療なんかで使うヤツ」
「知…るか」
虫歯になったことがない俺には縁遠いもので、かろうじて思うのは入れ歯の材質に似てるかというくらいで。
「俺をどうするつもりだ───!」
「どうもしないよ」
またパンク男がヒィヒィと笑い始める。
耳障りなそれを無視して、眼鏡男を睨んだ。
「全ては決定事項なんだよ。ボクとキミの運命だ……」
言葉が終わるより先に、マウスピースを口の中に押し込められた。
縦長の楕円筒のそれは顎が痛くなるほどの大きさではなかった。
けれどすぐにそれの効果を思い知る。
舌を押さえつけられて吐き出すことはおろか、声を出すことすらままならない。
いっそ手に噛み付けば良かったと思っても後の祭り。
「ふふ……素直なキミもいいけれど、もっと嫌がって欲しいね」
「出た出たァ、やァだね、こういうサディストは!」
「お前ほどじゃないさ」
悪い予感が背筋を這い上った、既に十分なくらい悪い状況に陥ってはいたが。
「ともかく起きよう、そのままじゃ何もできないからね」
逆エビ反りに肘と足首をセットで背中側に縛られ、更に手首を一まとめにされて膝を固めるものに括られている。
果てにはロープらしきものが首を一周させてあって、無理に動こうものなら自ら首を絞めることになる。
わずかばかりの余裕があるが、身動きするたびに首の薄い皮が擦り切れていくのがわかった。
「そォ、僕チャン偉いねェ!大人しくしてりゃ死ぬことはねェよ!」
いちいち煩いパンク男は取り出したカッターで無造作に拘束を断ち切っていく。
気温は5度を下回っているだろう。
室内とはいえ息が白く霞む。
久方ぶりに見えた両手は真っ白で、動かそうと思ってもかじかんで上手くいかない。
俺を縛っていたのはやはり麻目のロープで、あちこちに擦り傷ができいていた。
両手両足の拘束が解かれ、腕を引かれて身体を起こした。
「この……ッ」
萎えそうになる気を振り払って、パンク男に体当たりをした───するつもりだった。
背後に回っていた眼鏡男は敏感にそれを察知したのだろう。
何か特別なことをするわけでもなく、ただ、冷え切った手のひらに爪を立てて握り締めた。
感触が死んで久しい筈なのに、爪が肉につきたてられる痛覚だけは妙に生々しく、俺の身体を貫いた。
「い…ぐ……ぁ、ぁあああああああ!」
「だめだよ、オイタをしちゃあ……」
ね、と耳元で囁かれた吐息の生ぬるさに吐き気が込み上げる。

こいつらはいったい何なんだ。
何のために。
何故俺が。

「なぜかって……?教えてあげないよ」
俺の考えを読み取ったかのように、眼鏡男は口をめくり上げて笑った。